122講

「欲しがるな」

出エジプト２０：１７
2003年11月23日

「すべてあなたの隣人のものを、欲しがってはならない。」（出エジプト20：17）　十戒の第６〜９戒までは隣人に対する具体的な行為に関することであった。この第10戒は私たちの内面的な罪であるむさぼりの罪について記されている。ウェストミンスター小教理問答という17世紀にできたキリスト教教理の教科書によると、このモーセの第10戒について、「すべて私たち自身の身分に満足せずに、隣人の幸せをねたんだり恨んだりすること。またすべて隣人の所有するどのようなものにも法外な意向や愛着を寄せること」を禁じていると説明している。 自身の物欲、名誉欲、性欲などが他人に向けられるとねたみ、恨み、憎しみなどになる。

「あなたがたの天の父は、それがみなあなたがたに必要であることを知っておられます。」（マタイ６：３２）　神は私たちの本当に必要なものをことごとく知っておられて、それを必ず与えてくださるのである。逆に私たちは不必要なものを余りにも持ち過ぎていないだろうか。多くを与えられている恵みに感謝し、主よ、私が主のみわざに励むために必要のないものはどうか取り除いてください、と祈る必要があるのではないか。

私たちが自分の内面の罪を見るならば、十戒を完全に守れる人は誰もいない。私たちは毎日のように思いと言葉と行いにおいて神の掟を破っている。どうして神は守れないような律法を人に与えたのか。それは私たちが罪人であることを我々が知るためであった。神は罪の基準を与えられたのである。しかし神は、そんな私たちをあわれんでその先に暗やみから抜け出す道を備えていてくださったのである。

それがイエス・キリストの十字架である。罪のない唯一の方、神の御子であり、完全な人である方が犠牲になり死んでくださったからこそ私たちは抜け出せないはずの罪の縄目から開放されるのである。