吉水神社「一目千本」



後醍醐天皇御製

こヽにても雲居の桜咲きにけり
たヾかりそめの宿と思ふに

今回はお花見に来たので、神社には入りませんでしたが、中には義経や後醍醐天皇ゆかりの品々があるようです。

暫く行くと、勝手神社と言う変な名前の神社がありました。ここは、義経と別れた静御前が、追っ手に捕われ、荒法師たちの前で舞を舞わされた場所だそうです。



勝手神社



勝手桜。お供えのお酒は地元の「やたがらす」

更に上っていくと、左右にお寺が並んでいます。竹林院の群芳園は、大和三庭園の１つだそうで、中の美しさが垣間見えていました。これも、今回は入らず。



桜本坊



竹林院群芳園

そろそろお腹が空いてきて、キョロキョロしていると、中千本が見える席が空いてますと誘導され、茶店に。おうどんを食べて再出発。この日の予報は、最高温度１３℃。着込んできたので何とかなりましたが、かなりの冷え込み。温かいものが食べたくなります。

奥千本へ行くバスがあると聞いて、とりあえずそこまで行ってみようと思っていたのに、バス停は茶店からまだまだ遠いそうで、しかももう終バスが済んだとのこと。えっ、もおう？



このあたり、中千本

旅館が立ち並んでいます。吉野山は春の桜の時期以外にも訪れる人がいるのでしょうか？　写真で見た朝靄に霞む吉野山の風景も美しく、泊まって朝の景色も見たいなーとも思いました。

バス停が見えましたが、もう終わったはず。ところが、バスの案内の人に聞くと、まだありますよ、と。往復同じ杉林を通るので、桜は見えない、バスを降りたところから下ってくると、全山桜が見える場所があり、今が見頃だから是非そうしなさい、と勧められました。

杉木立の中を２０分ほど走り、降りたところは「奥千本入り口」となっていて、そこから狭い山道が続いているようでした。西行庵などがあると聞いていましたが、今回は遠そうなので無視。



高城山展望休憩所

そこから１本道を下っていくとすぐに展望台の表示。全山見えるのはここからかと、一生懸命目指します。一生懸命というのは、急坂で、最後はほんとに胸突き八丁。フーフー言いながら登りきりました。ところが、寒々とした光景のみ。目の前の桜は、ある向きの１本だけが咲きかけていて、違う方向のは、全部蕾。



奈良盆地から葛城山、金剛山を遠望

今まで下に沢山咲いていた桜など全く見えません。ただ、はるか向こうの奈良盆地やそのあたりの山々の風景が見えました。案内の看板と比較して、形が判り易いので二上山が確認でき、昔聞いたことがあるなー、と思った次第。





水分神社。「みくまり」と読むそうです

次は水分（みくまり）神社。「みくまり」とは、水配り、つまり、田畑に水を配る神が主神。その他にも神様が祭られており、その中の１人が、日本の紀元を作られた神武天皇を産み育てたということで、俗に子守明神ともいうそうです。豊臣秀頼再建（１６０４年）の社殿（重文）も、１本だけのしだれ桜も立派でした。





豊臣秀頼公寄進の400年前の御輿です

さて、又下り始めると、人だかりのしている場所が所々にあり、そこはもう夢の世界。上がってくる時の一目千本は、中千本から上千本を見上げる形になっていたようですが、今度は、上中下の全部を見下ろしているようでした。

上千本「子守茶屋」から吉野全山を見る

後から地図を見てそう思うだけで、確かではありません。まして、実際見ているときは、どこを見ているのやら判らないままでしたが、そんなことはどうでもよく、ただ、「美しい、これこそ見たかった景色！」と、うっとり。子守茶屋のあった場所や、多分花矢倉という場所だったと思います。

後は、その美しい景色を右に左に見ながら下り、途中で、姑と実家の２軒分のお土産を真剣に物色。葛饅頭、柿の葉寿司、桜の花の描かれた綺麗な瓶の地酒、和紙、を買い求めました。このとき相当荷物が重くなり、翌日から暫く、首の凝りに悩まされました。



下千本を吉野駅へ下る

桜に覆い尽くされながら、山道をくねくねと下り、吉野駅に到着。

念願の景色を見られ、充分満足したのですが、太陽が出ていれば、もっともっとシャープで美しい景色が見られそう。もう１度行きたいなー。

お寺や神社の中は殆ど見ていないし、西行庵辺りの奥の方へも行けませんでした。いつかまた、できれば吉野山の旅館に泊まって２日間ゆっくり見て歩く、という楽しみを残しておきましょう。



吉野駅は暮れかけていました