「出来ちゃった！出来ちゃった！縦列駐車が出来ちゃった！」

こんな車のコマーシャルが流れました。”縦列駐車“と聞くと、必ず思い出す人があります。

昔々、このマンションの上階に、“おじいさん”と“おばあさん”が住んでいました。というほど昔ではありませんが、２０年くらい前でしょうか。

マンションは、「地に足がついている方が良い」と言って、１階を好む方もあれば、「マンションなら景色でしょ」と上の方を望む方もあります。私は１階の住人ですが、“おばあさん”の「富士山も見えるのよ」の言葉に、「羨ましい！」とでも言ったことがあるのでしょう。

ある日、その方は、いずれ老人ホームに入るつもりなので、私に家を買ってくれないか？と言われたのです。そして１度見てくださいと勧められ、お宅訪問をしたのでした。

そのときに、なんとその“おばあさん”が、Ａ級ライセンスをお持ちだと言うことを知りました。縦列駐車が苦手だと言うと、４５度の角度でバックすること、最後には、後で出易いようにハンドルを少し右に切っておく、とか言うものでした。直後に試してみたら、見事にさっと入れたので、感激したものです。

最近縦列駐車の機会がなく、忘れちゃったので、検索したら、こんなのがありました。ご参考までに。
http://menkyotoroune.rulez.jp/unten/jyuuretu.html

家の件は夫にも相談し、どれくらい日数が経ったかは忘れましたが、お宅に電話を入れました。ご主人が出られたので、「奥様はいらっしゃいますか？」と言うと、「どういうご用件でしょうか？」とのお返事。それで、家の件を奥様にお話したいと、申し出たのです。

「家内は昨夜亡くなりました」
「！！！」

ただただびっくり！　元々心臓が悪かったそうで、都心でお友達と待ち合わせていたところ、相手が地方の方で道に迷い、寒い中かなり待たされたとか。やっと会えて暖かい店の中に入り、食事中に眠るように亡くなったと伺いました。

“正しい縦列駐車の仕方”を教えてくださったのが、私への形見となりました。そして、思い出すのが、彼女が“６０歳”だったこと！　私も今やそのお誕生日がすぐ目の前に迫っています。若かった私から見たら“おばあさん”に見えたその年齢に・・・。