私名義の株を１つ持っています。大昔、近所の証券会社で、チケット目的で買った映画会社の株を、夫にネットの証券会社に移してもらっていました。もう今では映画は１０００円で見られますから、その株の売却を頼み、代金をそのままにしていたところ、夫が勝手に今の株を買っていたのです。

ＴＶ局の株で、優待として、歌謡ショーの招待券。応募して抽選で当たれば、というもの。まったくー！　これだけ一緒に暮らしていて、私がそんなのが好きだと思っているのでしょうか？！　勿論、１度も応募などしたことはありません。要らないから、機会を見て売って、と言っていたのですが・・・。

或る日、夫が「『６０歳のラブレター』という映画、見たい？」と。興味があるというと、「株主総会に行ってみたら？」と言うのです。今回は、総会後に映画をするとのこと。映画は見たいけど、株主総会なんて行ったことがないし、株主だけだから１人で行くしかないし、あんまり興味がないし、緊張するし、と迷ったのですが、結構面白いよ、と。

当日は、大雨でした。ますます億劫になりましたが、朝早く目覚めたこともあり、出かける決心を。時間に余裕を見ていったのに、電車が遅れ、ハラハラ。受付で入場券と交換。会場では既に議長がご挨拶中。後ろに近い端の椅子が空いていたので、そこに座りました。

自分をさておいて何ですが、女性は、いわゆるおばあさんがほとんど。会場は一流のホテルだというのに、着ているものは、何といえばよいのか、柄物と柄物を合わせたような、私たち仲間では、家の中に居てもああいう服装はしないと思うような趣味の普段着っぽいもの。男性は、背広姿が多かったですが。

「旅番組で旅館招待に応募しても１度も当たらない、どのくらいの葉書が来るのか？」とか、「番組のバックナンバーが見たいので、ＤＶＤを出して欲しい」というような可愛い質問やお願いから、総会で発言したいから株を買ったという、ＯＢらしい男性の、経営に対する鋭い質問や提案、また若い男性の、内部告発的発言まであり、確かに、思ったより「面白い」体験でした。

質問ごとに、それぞれの担当の役員が答えるのですが、質問者はいろいろ調べてきて情報を得ているようなのに、回答者は都合の悪いことはさらりと受け流している感じで、何だかこちらまで納得できず、不満感が残りました。挙手している人数も少なそうなのに、「多数決で決定」なんて言われて変だと思いましたが、委任状の数で既に多数になっているのでしょう。或る意味、形ばっかりなんですね。

総会が済んでも、映画の案内は無く、不安に。持ってきた紙を見ると、映画は２階と判明。上がってみると、「入場券をご用意ください」との声。映画のチケットなんか貰ってないし、係りの女性に、「入場券って何ですか？」と言うと、「あっ、これです！」と、私のバッグの外側のポケットに入れていた紙を引き抜かれたので、笑ってしまいました。総会会場に入るとき貰った入場券に、「胸ポケットなど目立つところにお持ちください」と書いてあったので、そうしていたのでしたが、映画と一緒とは思わず、もうすっかり忘れていたのでした。

お弁当とお茶が配られ、皆さん、テーブルについて召し上がっていますが、席など空いていません。座席番号が指定されていたので、そこに行くと、席で食べている方も大勢。ここで食べてもいいんだわ、とようやく落ち着けました。お弁当は美味しく頂いたのですが、隣の男性が私より後に来て早く食べ終わり、楊枝をシュッシュカ音を立てて使うのには閉口しました。

暫くすると、「何でここに居るの？！」との声。高校の先輩女性でした。後ろ姿でわかったんですか？！　こちらもびっくり！　因みに、彼女は高級品らしき服装でした！

映画は、ちょうど私たち世代の話なので、過去の時代背景も納得できることばかり。タイトルからして、仲の良い夫婦の話ばかりかと思ったら、意外性があり、ほろりともさせられ、良い映画でした。余談ですが、出演していた、ジャズシンガーの綾戸智恵は、櫃妃の兄上が昔経営していらしたお店で働いていた人で、櫃妃も親しくしていたそうです。

夕食時は、総会の話で盛り上がり、夫は、「ママの株主総会デビューだね」と楽しんでいました。今年のような特典があれば、また行ってみようかな？　総会屋みたいになったりして！