191講

「わたしとともにパラダイスに」

ルカ２３：２６〜
2005年3月20日


今週は主イエスの受難の金曜日（十字架）を覚える一週間。十字架はキリスト信仰の中心であり、十字架のない教会はキリスト教ではない。主イエスは自ら十字架を背負ってヴィア・ドロローサ（悲しみの道）をゴルゴタの丘へと進まれる。主イエスとともに十字架につけられた二人の強盗の十字架上の会話と主イエスのことばから私たちの救いについて教えられる。

「十字架にかけられていた犯罪人のひとりはイエスに悪口を言い、『あなたはキリストではないか。自分と私たちを救え。』と言った。ところが、もうひとりのほうが答えて、彼をたしなめて言った。『おまえは神をも恐れないのか。おまえも同じ刑罰を受けているではないか。われわれは自分のしたことの報いを受けているのだからあたりまえだ。だがこの方は、悪いことは何もしなかったのだ。』そして言った。『イエスさま。あなたの御国の位にお着きになるときは、私を思い出してください。』イエスは彼に言われた。『まことにあなたに告げます。あなたはきょう、わたしとともにパラダイスにいます。』」（ルカ２３：３９〜４３）

人がパラダイスに入るためには、先ず悔い改めることが必要である。すなわち罪を素直に認めて告白すること。そして、キリストが神の御子であり、救い主であることを信じて受け入れることである。そうすれば、罪が完全に赦され、「パラダイス行き」が約束されるのである。「パラダイス（楽園）」とは、完全なる神の国、悲しみも罪も死もないところ。悔い改めて主を信じたこの強盗はどんなにか平安に死を迎えたことだろう。

人が救われて「パラダイス」を約束される時期は様々である。死の直前でも救われるのだから、私は自分の好き勝手に生きて死ぬ間際に信仰告白すればよいと言う人がいる。しかし、死ぬとき本当に悔い改めることができるのか、また、いつどういう死に方をするかもわからない。悔い改めるならば「きょう」その時から約束されるのだから、喜びは早いほうがよい。

私たちのこころの空しさや不安は、自己中心に自分勝手な歩みをして神から離れるところから来る。十字架は、罪のゆえに本来私たちが受けるべき神の怒りとさばきを主イエスが身代わりに受けてくださったということなのである。西洋では受難日の金曜日をGood Fridayと呼ぶ。決してのろわれた悪い日ではなく、むしろ私たちの救いが成就した大切な日なのだから52日の金曜日のうちでBest Friday　と言ってもよい日である。