193講

「主よ、共に宿りませ」

ルカ２４：１３〜３５
2005年4月3日


主イエスは復活の後、天に昇られるまで40日間弟子たちの間に現われた。「エマオへの道」の二人の弟子に現われたことを記したこのルカの福音書の記事は、実に絵画的で感動的である。二人の弟子（一人はクレオパという名前）が、たった数時間前に起こったイエスの復活のできごとを話していた時、主イエスが近づかれて、「何のことですか」と尋ねられた。エルサレムにいる者なら知らない者はいない、こんなに衝撃的なできごとをどうしてこの人は知らないのかと不思議に思ったが、十字架と復活のことを驚きをもってイエスに語った。（ルカ２４：１９〜２４参照）　「しかし、ふたりの目はさえぎられていて、イエスだとはわからなかった。」（２４：１６）

しかし、主イエスは、聖書に書かれているキリストについての預言をどうして信じないのか、愚かな、心の鈍い人たち、と二人を叱責された。主イエス自ら旧約聖書のキリストの預言をていねいに説き明かされた。二人は盲目の状態から、少しずつ目が開かれ、イエスを家に招き入れて食事を共にした。主イエスがパンを裂いて祝福されたとき、二人の目は完全に開かれて、イエスだとわかったのである。現在の私たちが聖餐を受けるときも、そこには主の特別の臨在があり、目を開かれてはっきりと主イエスを見ることができ、罪の赦しの恵みを体験することができるのである。

彼らは主イエスに、「いっしょにお泊りください。」（ルカ２４：２９）と無理に願った。この方はひょっとして、私が求めていた、まことの救いと平安を与えてくださる方ではないかと思ったら、強引にでも心にお迎えするべきである。どんどん先へ行ってしまわれて、もう会えないかも知れないからである。「いっしょにお泊りください」とは、「主よ、ずっと、死の間際まで、いや肉体が滅びた後も、ともに私の中に宿っていてください。」という祈りである。死を滅ぼして復活し、今も生きておられるイエスが、私たちの中に宿っておられれば、深い平安を得られる。