220講

「倒れないように」

Ｉコリント１０：１〜１４
2005年10月9日


人は誰でも人生で必ず「試練」に会う。「試練」とは神が私たちに課される信仰のテストである。合格するかどうかはその後の歩みに大きな差が出る。神のテストの内容は様々で、病気、貧困、悲しみ、迫害など。試練に会ったとき、完全に打ちのめされて挫折してしまったり、神なんか居るものかと信仰を失ってしまうか、逆にますます固い信仰に立つことになるかを、神は試みられる。

「あなたがたの会った試練はみな人の知らないようなものではありません。神は真実ですから、耐えることのできないような試練に会わせることはなさいません。」（Ｉコリント１０：１３）　自分だけがどうして、と思いがちであるが、自分よりもっとつらい試練に会っている人はいくらでもいるものである。その時は人間にとって霊的ステップアップのチャンスである。神は人を練り聖めるために私たちを試練に会わせられるのである。試練に耐えて乗り越えると、前よりも更に神を深く知り、神との交わりを深く豊かにすることができる。多くの不純物が取り除かれてキリストに近づくことができるようになるのである。

神が人を試みるのであって、人が神を試みてはならない。それは大きな罪である。イスラエルの民は神に会見するため山に登っているモーセが帰って来ないのを待ちきれず、金の子牛を造って拝んだり、異国の女たちと交わって異教の神々を拝んだり、荒野で食べるもの、飲むものがないために神にしばしばつぶやいた。試練にあっても神に信頼し切れなかった。「主が私たちの中におられるのか、おられないのか」（出エジプト１７：７）といって主を試みた。しかし、神はメリバでモーセの杖をとおして出るはずのない岩から水を出し、奇跡のマナでイスラエルの民を守り、生かし続けられた。神を試みることとは、神の存在、神の愛を疑うことである。

「むしろ、耐えることのできるように、脱出の道も備えてくださいます。」（１０：１３）　「脱出の道」に乗るためには、先ず試練の現実を受け入れることである。あくまで主を信じて信頼することによって、主は人には考えつかないような道を示してくださるのである。「立っていると思う者は、倒れないように気をつけなさい。」（１０：１２）　自分の力で解決しよう、乗り越えようと思う者は倒れやすい。倒れないようにするには、主の力に寄りすがる他ない。