245講

「十字架の愛」

マタイ２７：３１〜４４
2006年4月2日



主イエスは大祭司やピラトのところでさんざん嘲笑され、鞭打たれ、十字架にかけられるために連れ出される。ピラト官邸からゴルゴタまでの道は現在「ヴィア・ドロローサ」（悲しみの道）として覚えられ、１４の記念のステーションが設けられている。主イエスの十字架の道には、多くの人物が登場する。祭司長・長老・律法学者などあからさまにイエスに敵対する人たち、イエスの弟子たち、ポンテオ・ピラト、バラバ、クレネ人シモン、総督の兵士、二人の強盗、そして群衆など。誰がイエスを十字架につけた真犯人であろうか。

「もし、神の子なら自分を救ってみろ。十字架から降りて来い。」（マタイ２７：４０）「彼は他人を救ったが、自分は救えない。」（２７：４２）　主イエスはこれら道行く人々の嘲笑のことばをどのように聞かれたであろうか。主イエスは神であり人であるが、断末魔の苦しみと、いのちの存亡にかかわることであったので、人としてのイエスには悪魔の最大の甘い誘惑であった。主イエスは神として全能の力を示して数多くの驚くべき奇跡をなさって来られた。当然十字架から降りてくることも出来たであろう。

しかし、その誘惑を退け、十字架の上で死を受け入れられたのは、「父なる神への従順」と「私たちに対する愛」のゆえであった。父なる神からこの世に遣わされた主の目的は、「神の子羊」として神にささげられることであった。私たちの罪をになって罪のないお方が十字架上で死ぬことによって私たちの罪がゆるされ、救いが実現したのである。犠牲の愛、アガペーの愛である。キリストが十字架にかかって死ななければ人類の救いはなかった。

イエス・キリストを十字架につけた犯人は、他でもない私たち自身であった。誰しも罪を持って生まれて来た。そして、最初はイエスを拒否したり、知らないと言ったりしていた。「神はそのひとり子を世に遣わし、その方によって、私たちにいのちを得させてくださいました。ここに神の愛が私たちに示されたのです。私たちが神を愛したのではなく、神が私たちを愛し、私たちの罪のために、なだめの供え物として御子を遣わされました。ここに愛があるのです。」（Ｉヨハネ４：９〜１０）　十字架につけた張本人が十字架によって救われるのである。神が先ず私たちを愛してくださっていることを知ろう。十字架は神の私たちへの愛を表わす最高のしるしなのである。