289講

「誘惑に勝つ」

ルカ４：１〜１３
2007年2月4日



主イエスは40日40夜断食のあと、悪魔の誘惑に会われた。第１の誘惑「あなたが神の子なら、この石に、パンになれと言いつけなさい。」（ルカ４：３）　悪魔はイエスが神の子であることを認めた上でそのしるしを求めた。しるし（＝奇跡）は神のみこころであるときに行なわれるのであり、しるしを行なう力のあることを誇示することは父なる神への不従順であり、悪魔に屈することになる。主イエスの答えは、「『人はパンのみによって生きるのではない。』と書いてある。」　人はパンがなくては生きられないが、そのパンは誰が与えてくださったのかを考えなさい、ということである。「神の口から出る一つ一つのことばによる」とマタイの福音書には記されている。悪魔の誘惑、罪の誘惑は先ず私たちの誰でも持っている基本的な欲望をついてくる。食欲、性欲などなど。日本においてもグルメ時代、性道徳の乱れの時代。誘惑はすぐそばにある。

第２の誘惑「もしあなたが私（悪魔）を拝むなら、全世界をあなたのものとしましょう。、、、国々のいっさいの権力と栄光がわたしに任されているので」（ルカ４：７）などと嘘を言う悪魔の正体。主イエスの答えは、「『あなたの神である主を拝み、主にだけ仕えなさい。』と書いてある。」（４：８）　人間は、権力、栄光、名誉、金銭、支配などの欲望にも負けやすい。少しばかり得た時が一番危ない。どんどん深みにはまっていく。また、悪魔は、私たちの「できること」「得意なこと」などの賜物を狙う。良い気になって慢心した時が怖い。

第３の誘惑「あなたが神の子なら、ここから飛び降りなさい。」（４：９）　あなたは守られるだろうからと、詩篇91編のみことばを用いて誘惑する。この詩篇の真理は、不必要な冒険や危険をおかして主が守ってくださるかどうか試しなさいという勧めではない。主のみこころに従って歩む道には必ず主の守りがあるということの約束である。悪魔は、聖書を勝手に解釈したり、部分的にかたよった理解をしたりして悪用する。主イエスの答えは、「『あなたの神である主を試みてはならない』と言われている。」（ルカ４：１２）私たちは苦しいとき、困難なときにも誘惑に弱い。神につぶやいたり、神を否定したりさえする。

主イエスは人として私たちと同じように試みに会われた。そしてことごとく悪魔の誘惑に勝たれた。悪魔は強烈な力を持って私たちを神から引き離そうとする。私たち一人一人が闘って勝てる相手ではない。主イエスの力がなければ勝てない。主はその力を私たちのために用いてくださる。私たちの代わりに闘って勝利してくださるお方なのである。主イエスを信じて、「我らを試みに会わせず、悪より救い出だしたまえ」と心から祈りたい。