297講

「わたしとともにパラダイスに」

ルカ２３：３２〜４９
2007年4月1日



主イエスの十字架上で語られた７つのことば。そのうち3つがルカの福音書23章にある。最初のことばは、「父よ。彼らをお赦しください。彼らは、何をしているか、自分でわからないのです。」（ルカ２３：３４）　「彼ら」とは十字架につけている兵士。詩篇22篇に預言されている、着物をくじ引きで分け合うこと、この方が本当の救い主であることを知らないで手に釘を打ち、十字架につけていること。嘲笑、侮辱の限りを尽くし、ただ務めを果たしている彼らは、自分の罪に全く気がついていない。そんな彼らに対して、主イエスは非難するどころか、自分を十字架につけた敵のために父なる神にとりなしの祈りをささげられた。「彼は多くの人の罪を負い、そむいた人たちのためにとりなしをする。」（イザヤ５３：１２）と預言されたとおりである。「自分の敵を愛し、迫害する者のために祈りなさい。」（マタイ５：４４）という御ことばが実現する。

第２のことばは「あなたはきょう、わたしとともにパラダイスにいます。」（ルカ２３：４３）　イエスとともに十字架につけられた二人の重罪人。最初は二人とも「あなたはキリストではないか。自分と私たちを救え」（２３：３９）と、イエスをののしっていた。しかし、そのうちの一人はその後改心をする。彼は、「この方は、悪いことを何もしなかった。」と語っていることからもイエスに以前から関心を持っていた。先の「父よ。彼らをお赦しください。」というイエスのことばが、胸に突き刺さったのだろうと想像できる。それゆえ、『イエスさま。あなたの御国の位にお着きになるときには、私を思い出してください。』（２３：４２）という心砕けたことばが出て来たのである。神の前にへりくだり、イエスが神の子救い主であることを信じて告白すれば、死の直前であっても、私たちはキリストがともにおられる所、すなわちパラダイスを約束されている。

主イエスの最後のことばは、「父よ。わが霊を御手にゆだねます。」（２３：４６）　主イエスがこの世に遣わされた使命は十字架につくこと。父なる神にたいして最後まで完全に従われたことによって神の救いの計画が完成したのである。まことに、すべてを父にゆだねられた主イエスは私たちの模範である。ゆだねれば、苦しみに耐える力とまことの平安となぐさめが与えられる。

十字架は私たちに対する神の愛のあかしである。私たちは自分勝手な道を行き、神知らずの生き方をしていた。主イエスはそのような罪を身代わりに受けてくださった。そのことを信じれば罪は赦される。主の十字架の痛みは私の痛み。