314講

「五つのパンと2匹の魚だけ」

ルカ９：１〜１７
2007年7月29日



4つの福音書全部に記されている奇跡。主イエスはベッサイダというガリラヤ湖北部地方で神の国を説かれていた。男だけで５千人の群衆がついてきた。日も暮れかけた。弟子たちは群衆を解散させて宿をとらせ、食事をさせて欲しいとイエスに願う。イエスは弟子たちが彼らに与えるようにと言われた。弟子たちは、「大麦のパン５つと2匹の魚しかない。こんな時間に買いに行くこともできない」と言う。「するとイエスは、五つのパンと二匹の魚を取り、天を見上げて、それらを祝福して裂き、群衆に配るように弟子たちに与えられた。人々はみな、食べて満腹した。そして余ったパン切れを取り集めると、１２かごあった。」（ルカ９：１６〜１７）

主イエスについてきた人たちは長時間、薄暗くなるまで、熱心にイエスのことばに聞き入っていた。だからこそ、パンと魚の奇跡を見、それに与かることができたのである。「神の国とその義を先ず第一に求めなさい。そうすればそれに加えて、これらのものはすべて与えられます。」（マタイ６：３３）　「、、、、、だけしかない」と思うと、不安、不満、不信を持つ。イエスの目は、「、、、、、もある」。主を信じ、祈れば、私たちの想像をはるかに超えたわざを主は成してくださるのである。主イエスを信じていれば私たちは「この世」の国の中の「神の国」、すなわち神が支配されている国にいる。「神の国」では、私たちの目に見えるもの、常識の範囲外のことが行われるのである。このパンの奇跡は、このことがわからない愚かな私たちにたいする戒めでもある。

記者ルカが最も言いたかったのは、ナザレのイエスとは一体誰なのかという問いに対して、「あなたは神のキリストです。」（9：20）という明確な答え導き出すためのイエスの奇跡であった。この奇跡は論理的には説明不可能なできごとである。しかし、人々が実際に食べて満腹するほどパンと魚はイエスの御手の中で増えたのである。このような奇跡を行えるような方は神しかいない。「私はいのちのパンです。あなたがたの父祖たちは荒野でマナを食べたが、死にました。しかし、これは天から下ってきた生けるパンで、それを食べると死ぬことがないのです。」（ヨハネ６：４８〜５１）イエス・キリストは肉のいのちを保つために必要なパンを必要な時に与えてくださり、さらに大切な私たちの霊のパンをも与えてくださる方である。