315講

「自分のいのちを救う」

ルカ９：１８〜２７
2007年8月5日



弟子たちは、数々のイエスの奇跡のわざとみことばに触れ、このイエスという方は一体誰なのかについて次第にその答えを得ていった。そしてついに、ピリポ・カイザイリヤという異教の神を祭る神殿があったところで、ペテロが、「あなたは、神のキリストです。」（ルカ９：２０）と告白した。キリストとは、神に油注がれたもの、その使命を与えられた救い主であり、イスラエルが、そして世界が長い間待ち望んでいた方であることを弟子たちは確信したのである。このとき初めて、イエスは自らを「苦難のしもべ」であると告白された。ユダヤ人たちから拒否され、迫害され、苦しみを受けて殺されるとの預言である。

「だれでもわたしについて来たいと思うなら、自分を捨て、自分自身の十字架を負い、そしてわたしについて来なさい。」（ルカ９：２３）とイエスは言われた。「自分を捨てる」とは、自分を否定することではなく、古い自分に固執することを捨てるということである。古い自分とは、生まれたままの自分、罪の解決がない自分のことである。貪欲、名誉、金銭、快楽などにこだわり、罪の自覚がなく、罪はキリストによって赦されることを知らない自分のことである。

「日々自分の十字架を負う」とは、イエスを信じて生きる時、この世からの誤解、ののしり、あざけりなどがあるかもしれない。しかし、それに耐えて乗り越えていけば、最も価値のある「本当のいのち」が与えられるのだ。「わたし（イエス）のために自分のいのちを失う者はそれを救うのです。」（9：24）　仕事一筋で頑張って来た人がリタイヤすると、趣味の世界にゆっくりと時間をとりたいと思う方も多い。しかし、それは結局自分自身のためであるから何か物足りないものを感じるはず。ボランティア活動に携わる方もいる。他人や社会に役立ちたいと思うことは尊いことである。しかし、最も充実感を味わうことができるのは、神様のため、教会のために働くことである。「人は、たとい全世界を手にいれても、自分自身を失い、損じたら、何の得がありましょう。」(9：25)

自分を捨て、自分の十字架を負うと、まがいものがあふれているこの世との差が示される。嫌な思いや、試練や、反対があるかもしれない。しかし、主はそれに勝る祝福を与えてくださる。主に従うゆえの苦しみは喜びに変えられる。何より、イエスを受け入れた人は終わりのときに、イエスが受け入れてくださる、という約束がある（ルカ９：２６参照）。最高の喜びである。