400講

「彼らをお赦しください」

ルカ23：33〜46
2009年4月5日



主イエスの十字架上のことばは7つあるが、ルカの福音書には３つ。先ず、「父よ。彼らをお赦しください。彼らは、何をしているのか自分でわからないのです。」（ルカ２３：３４）　十字架のそばでは民衆や指導者、そして十字架につける仕事をする兵士もいっしょになってイエスを嘲笑する。彼らは、今している自分たちの行いやことばや思いがどれほどの罪であるかを自覚していない。罪を罪と思わないことが罪である。さらに、彼らはイザヤ書５３章にある「苦難のしもべ」をさげすみ、打ち、苦しめている張本人であり、その成就に一役かっていることに気づいていない。「くじをひいて、イエスの下着を分けた」（２３：３４）　兵士たちも詩篇２２：１８の成就であることを知らない。

こんな彼らに対して、主イエスは父なる神へ祈られた。「父よ。彼らをお赦しください。」　驚くべきおことばである。真珠湾爆撃の総指揮官であった淵田美津雄氏は、このことばの意味が分かり、信仰に入られた。さんざん傷めつけられ、ののしられた人々に対して、怒りを通り越して呪ったり、復讐を誓ったりするのが普通の人間だが、イエスは、「彼は多くの人の罪を負い、そむいた人たちのためにとりなしをする」（イザヤ５３：１２）という旧約聖書のことばのとおりのことをされた。私たちの罪の赦しは、全く罪のないイエス・キリストが十字架で血を流して死ぬという、偉大な犠牲によって可能となった。イエスの十字架がなければ私たちはいまだに罪から解放されずにいるのである。

「まことの、あなたに告げます。あなたはきょう、わたしとともにパラダイスにいます。」（２３：４３）　いくら、主イエスが罪の赦しをとりなしてくださるといっても、罪を持ち、罪の行いをしている本人の自覚がなければ赦されるということはないし、無意味であるし。本人が知らない間に赦されていたということはあり得ない。イエスの他に十字架につけられていた二人のうちの一人は死の直前、イエスを神の子と信じて悔い改めた。彼はイエスの隣りでイエスのことばをすべて聞いていた。「彼らをお赦しください」というとりなしの祈りも聞こえた。それにハッとさせられたのではないだろうか。彼は死んだあとも主イエスとともにいる約束を得た。

「父よ。わが霊を御手にゆだねます。」（２３：４６）　最後まで父なる神と一体であることを示された。私たちも息を引き取るとき、「わたしの霊をあなたの御手にゆだねます」とこころから言って召されたい。