434講

「癒し主キリストの降誕」

マタイ４：１２〜１７、２３〜２５
2009年11月29日


アドヴェント（待降節、キリストの降誕を待ち望む期間）に入った。キリストはまことの「癒し主」である。新約聖書には、イエス・キリストがあらゆる病人を癒し、悪霊にとりつかれた人を解放する記事が数多く出てくる。その目的の一つは、イエスは神の子であり、この世に遣わされた救い主であることを示すためであった。不思議な癒しの力を持ったイエスこそイスラエルの民が待ち望んでいたメシヤ（救い主）でことを信じさせるのに必要であった。また、イエスは愛と憐みに満ちた方であり、病気や、苦しむ人たちをかわいそうに思われ、癒しの力を用いられたのである。

イエスの癒しの力は今も変わらず私たちの上にも及ぶ。まことの癒し主はイエス・キリストしかいない。「信仰による祈りは、病む人を回復させます。主はその人を立たせてくださいます。」（ヤコブ書５：１５）　この方を信じる信仰を持って一生懸命祈ればどんな病気でも治るのか。治る場合もあるが、治らない場合もある。しかし、信じて祈ることには大きな意味がある。真剣に祈っていると、今まで考えつかなかった色々なことが示される。神様からの声を聞き、実行に移す中でその人は立つことができるのである。

人間の生命体はどのように分かれるか。健康か病んでいるかという観点から、体と精神と霊の3つに分けて考える。体の状態は軽い風邪のような状態から、慢性の病、死に至る病など様々。精神（こころ）も同じように健康な状態から、重篤な状態まで様々。病は薬や医者の手を通して治っても、その源は「癒し主」である主イエスから来る。

人間が持っている「霊」。神様とつながる為に神様から与えられているものである。「霊」が健康であると、神様とのつながりが強く、良い交わりができる。「霊」が病んでいる時は、神様から離れていて、神様からの祝福にあずかれない。人間の３つの生命構成体のうち、この霊的な健康が最も大切なものである。体とこころが健康でも、霊的に病んでいる場合がある。ツアラート（重い皮膚病）を病んでいる10人がイエスによって癒されたが、サマリヤ人の一人だけがイエスのところへ戻って来て神に感謝したというルカ17章11〜19節にある記事がよい例である。9人は体が癒された途端にイエスから離れてしまったのである。

さらに、最も重要な癒しのためにはイエスは敢えて人の体を癒されないこともある。「、、、、そのために私は、高ぶることがないようにと、肉体に一つのとげを与えられました。それは私が高ぶることのないように、私を打つためのサタンの使いです。このことについては、これを私から去らせてくださるようにと、三度も主に願いました。しかし、主は、『わたしの恵みは、あなたに十分である。というのは、わたしの力は、弱さのなかに完全に現れるからである』と言われたのです。ですから、私は、キリストの力が私をおおうために、むしろ大いに喜んで私の弱さを誇りましょう。」（IIコリント１２：７〜９）

パウロは何か体に病気を持っていた。しかし、主はその病を癒されなかった。それは、本当の癒しである霊的な癒しを得るためには、肉体の病はかえって癒されない方がよいこともあるということを示している。

私たちは今霊的に健康かどうか自問してみたい。私たちのすべての健康を司っておられる方、また病んだときの癒しの力を持っておられる方が、この世に来られることをこころから待ち望もう。